みなかさんとタクシー

 珍しく職場の人、もと職場の人、との飲み会に誘われたみなかさん。何が悲しくて男三人で飲まなければならないのか、しかも休日、明日は仕事だ、というテンションでの出陣となりましたが、

 わりと楽しげな感じで(なんかもう最近ほんとに、休日の食生活がひどすぎたので、まともな料理を食べれてよい機会でした)、というか弊社の闇の深さをさらに知らされる情報をいくつか聞き、辞めたい度がアップするという結果になりましたが、それはともかくとして、

 帰りに「あっ、奇跡的にまだバスある、行き先おかしいけど途中で降りれば家の近くやな」と、乗ったことのないバスに乗車したら、「なんか橋を渡ってる(いくら方向音痴なみなかさんでも、越えちゃいけないラインを越えちゃってることが分かる)」、というあたりで異変には気づいていたのですが、

 やはりその後、みなかさんの家の近くの停留所名は一切アナウンスされず、終点で降りたら全然知らない場所で、もう日付が変わるというのにどっちが家かも分からない、明日は仕事。あまりの極限状況に、白目をむきがくがくとふるえだすみなかさん。

 都バスってけっこうそういうのあるんですよね、同じ系統でも行き先の違う二種類のバスがあったり、時間帯によって途中までしか行かなかったり、行き先変更されたり。

 「みなかアホなだけじゃん」、と思うかもしれませんが、終点で降りたあと、もう一度バスの横っ腹の、「こことここ経由してここ行きます」みたいなのを見たら、やっぱりみなかさんの地元の停留所が書いてありましたからね、不思議なこともあるものです。

 というわけで、仕方ないのでタクシーを拾い(「ヘイ!タクシー!」みたいな大胆なことはできないので、信号待ちで停まっているタクシーに駆け寄り、コンタクトを試みるスタイル)、乗ったのはいいのですが、

 初乗り400円とかだったのが、もう次の瞬間には1000円、みたいなメーターの急上昇ぶりで、「ヒィィィ!」となったり、みなかさんの貴族特有の高貴なオーラや、物腰柔らかい感じ、

 イケメン、お人好しそう、優しそう、魂のステージが高そう、育ちが良さそう、というのを感じ取られ、カモ判定され、チートメーター(カモれそうな人が乗ってきたら切り替える、通常より進みの早い料金メーター)を作動させられてしまったのか、とか思ったり、

 しましたが、わりと普通に最短距離(さっきバスで通ったような気がするコースを走っていたようだったので)、で家の近くまで搬送してくれたようで、それでも1500円くらいかかったのですが、

 いつものようにみなかさん、短距離でごめん税ということで、1000円札を2枚出し、「おつりとっといてください」と意味不明な言葉を残し、丁重にお礼を言って車を降り、

 「素直に解散場所からタクシー乗っておけば1000円かからなかったのに、飲み代と交通費が同じくらいだわ」、と微妙にへこみながら就寝しました。

 タクシーってみなかさんにとっては移動手段というよりは、迷子になったときに使う緊急エスケープ手段(道が分かっていれば歩くので)という感じで、それだとなんか、みなかさん迷子ダサい、という話ですが、たとえば、

 やばい人たちに拉致監禁されて、隙を見てどうにか逃げ出した、でも走り続ければいずれ体力は尽き、捕まって連れ戻されてしまうだろう、というときに、

 タクシーを拾って逃走に成功、生き延びる、ということもたまにはありそうで、タクシーのお陰で命拾いした、という人は少なくないと思うので、

 タクシー運転手さんはすごい仕事だなと思うでした(ただし、お金次第。無銭乗車が発覚したなら、拉致監禁場所にUターンされてしまうだろう。また、急いで乗ったタクシーというのは、幽霊タクシーだったり、トランクに死体が入っていそうなイメージ、特に雨の日とか)。

スカイツリーとかわりと近いです